今、昔、物語。

昔、昔。
母から頼まれてお遣いしていた物。
ひとつは豆腐。
そしてもうひとつは卵。

当時お豆腐は一斗缶に入って売っていた。
家から台所のボールを持参しお水を張って持ち帰った。
「おじちゃん、木綿一丁くださいな。」
「また買いに来てくれたんかぁ。えらいのぉーーー。」

レジ前に大きな黒いワンちゃんがおって、犬さんが苦手だった私はあまり気のりしないお遣いだったが、
全く吠えないし、いつもゴロンと横たわっておとなしい子だったので、まぁ大丈夫だった^^
今から思えば駄菓子も置いてあったのに、そのコーナーへは一歩も近づかず豆腐だけ買って一目散に家に戻っていくような、ど真面目な子どもだった事に驚く^^

父は生みたて卵を生で食べる人だった。
町内に養鶏場が一軒あって、そこから直接買っていた。
御まま事で使う小さな買い物かごにお財布。
それだけ持って坂道を下り、てくてくてくてく歩いて買いに行くのは私の役目。
その近くに高校があって、放課後・・・色んな楽器の音が聞こえた。
トランペット。
クラリネット。
ホルンにオーボエ。
フルートやバイオリンの音も混ざってた。
秋になると八幡さんの大きな大きなイチョウの木が黄金に光り、黄色い絨毯の上でしばらく音を聞きながらぼーーーーっとするのが好きだった。
新聞紙に一個づつ包んである卵。
お店のおばあちゃんがいつも一個おまけで入れてくれた。

今朝、末っ子が私に言う。
「俺の学校の裏にあるお宮さん?かなーーー???
そこに大きな銀杏の木があるんよ。
ものすごでっかい木でな、今ちょうど紅葉してきれいなんよっ。
俺、掃除の時間にいっつもそれ眺めてるん。
あれはほんまに見事じゃわ。」

その木はまさしく私が好きだったとっておきの銀杏の木。
お遣い途中で見上げたあの木を今は息子が眺めてる。

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by m_nonohana | 2013-11-21 09:36 | 暮らし